
PL法第1条は、いわゆる目的規定であり、製品事故による被害者の保護を通じ、国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に貢献していくことが本法の目的としてここに明記されている、具体的には、紛争解決における争点の明確化と処理の円滑化、企業・消費者双方の製品の安全性に対する意識の変化と取組の充実、国際的に調和の取れた制度の確立などの達成が本法の目的として期待されている。
(2)対象となる製造物
第二条(定義)第1項
この法律において「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう。
PL法の対象となる製造物は「製造または加工された動産」である。従って、消費者用製品に限らず、産業用機械なども含むあらゆる製品がPL法の対象となる。なお、完成品のみならず、部品・原材料も対象となるが、未加工農林畜水産物は対象から除外されている。
船舶は法律上動産として扱われるため、製造物責任法の対象となる。
(3)欠陥
第二条(定義)第2項
この法律において「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。
欠陥とは、「当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていること」と定義されており、具体的には、「当該製造物の特性」、「通常予見される使用形態」及び「当該製造物を引き渡した時期」などを考慮して、個々の事例毎に判断されることになる。
「当該製造物の特性を考慮する」とは、欠陥の認定にあたって価格対効果、危険性と有用性の比較など、その製品の有する固有の性質や諸事情を勘案した上で欠陥の有無を判断するという意味である。例えば、大型自動車と軽自動車を比較した場合、事故時の安全性については明らかな差があるが、「大型自動車であればこのような被害は発生しなかった」という事実のみでもって、軽自動車に欠陥があったと単純に認定されることはないというのがその一例である。
「通常予見される使用形態を考慮する」とは、合理的に予見できないような異常な製品の使用については、欠陥認定における安全性の判断から除外し、仮にそのような使用によって被害が発生したとしても欠陥があったことにはしないという意味である。
従って、通常、合理的に予見できる誤使用については、製造業者としてもそれを考慮して設計や指
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